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ぼくの妻はシャルロット・ゲンズブール

金曜日, 25 4月, 2003

ぼくの妻はシャルロット・ゲンズブール
新宿ハイヤットホテル東京
2003年4月25日(金)
シャルロット・ゲンズブール
イヴァン・アタル

CharlotteGAINSBOURG
父はセルジュ・ゲンズブール、母はジェーン・バーキンの俳優一家。1971年ロンドン生まれ。84年「残火」で映画デビュー。「なまいきシャルロット」で セザール賞有望若手女優賞。イヴァン・アタルと結婚し、一児を出産。99年「ブッシュ・ド・ノエル」でセザール賞助演女優賞を受賞した。

YvanATTAL
1965年イスラエルのテルアビブに生まれ、2歳でパリ郊外に移住する。90年「愛を止めないで」で共演したのをきっかけにシャルロット・ゲンズブールと の交際が始まる。その後2人は「愛されすぎて」(91)、「ラブetc」(96)で共演。監督としては長編デビューとなる本作が、セザール賞第1回監督作 品賞候補となった。

私生活でもパートナーである2人が、劇中でも夫婦を演じる。シャルロットは人気女優として。イヴァン・アタルは妻が女優であることに振り回されるスポーツ 記者の夫に扮する。「なまいきシャルロット」「シャルロット・フォーエバー」など実際の生活と演じる役柄の雰囲気が重なることが多いシャルロットだが、そ れらの作品と本作あわせて、あくまでも映画の作品であることを繰り返した。「『なまいきシャルロット』『シャルロット・フォーエバー』では自分とは違う人 物を演じました。自分自身をベースに描かれた脚本でも、その人物は全くそのままの自分ではないので、自分自身の素を見せたとは考えていません。今回の劇中 の人物像は全く私らしくない自分と違った人物でした。実際のところ、この作品は女優を描いていているわけであってそれが自分でなくても良かったわけです」

と言うものの、本作では衣装の6割も私服を使用していることについては「今回の劇中の人物像は全く私らしくない自分と違った人物でしたので、当初衣装に私 物を取り入れる予定はありませんでした。撮影中に部分的に私物を取り入れた方が自然な場合があり、そうしているうちに結果的に6割自分の私物を利用しまし た。もちろん、スチュワーデスの格好は私の衣装ではありませんが(笑)」

そして気になるのは夫であるイヴァン・アタルの作品という点。「出来上がった作品を見るのは欠点が浮き上がって見えるので怖いことですが、今回の作品は感 動しました。イヴァンの世界が描かれています。それを映画を通して見ることが出来たことに感動しています」と微笑ましい。

タイトルでは原題「ma femme est une Actrice(僕の妻は女優)」が邦題では「ぼくの妻はシャルロット・ゲンズブール」と名前が使用されていることに関しては、イヴァン・アタルが少々意 図に反する題名であることを述べた。「この映画は女優を持った旦那の話で、シャルロット・ゲンズブールを意味するものではありません。もしシャルロット・ ゲンズブールの話を撮ったならばもっと違った別の作品になっていただろうし、パート2、パート3まで続く大作になっていたことでしょう。私が伝えたかった ことは俳優の難しさです。俳優はある人物を演じていても脱いだ瞬間、観客はその人物自体に注目します。服を脱いでしまうとその演じている人物ではなくなっ てしまう。もし自分の妻が女優であったら、ということを感じて欲しかったのです」

元祖フレンチ・ロリータであるシャルロットの名前を使った方が映画として売れるという、日本でのマーケティングの視点も理解できなくはない。監督の意図と はかけ離れてしまったとはいえ、邦題の付け方だからこそ、劇中の2人が実生活の2人とどこまで重ね合うのかを想像する楽しみが残るのは確かだろう。邦題の 意味に対して監督の意見がはっきりと聞けたことは結構貴重だったと言える。

今後の俳優・監督活動について、色々な国やアメリカのメジャー系に出演していきたいと考えているのかについて、シャルロットは「まずは演技を続けたいと考 えています。作品がいいかどうか、シナリオがいいかどうかで決めるので国はあまり関係ありません。少し前にアメリカで一本撮って非常に楽しかったですし、 巡り会いがあればハリウッド系の映画に出るのも一つの選択だと考えています」と、女優を今では天職と感じていることが伝わってくる。

一方、イヴァン・アタルは「撮りたい作品のテーマによって変わってきます。色々な街でも非常にきれいなところを見ると撮りたいという衝動に駆られます。そ れにフランスだけでしか制作をしないというのも寂しいですね。これは2本目でイギリスでのシーンも取り入れましたが、テーマによりけりで世界中の色々の地 域で撮る可能性は十分にあります。3本目はフランス国内を考えています。次もシャルロットと製作する予定です」と、夫婦合作の次回作も楽しみな発言を残し て会見を終了した。

チェーンスモーカーとして知られるシャルロット。会見中もタバコを休める様子はない。イヴァン・アタルも葉巻を吸いながらの進行で、フランス人俳優ならではといったところか。飾らないナチュラルな雰囲気をまた2人で見せて欲しいものである。

NOVO – Jean-Pierree LIMOSIN

月曜日, 3 3月, 2003

99年の『TOKYO EYES』以来の日本公開作品となる『NOVO/ノボ』を携えて、ジャン・ピエール=リモザン監督が来日した。本作『NOVO/ノボ』では、97年の 『オープン・ユア・アイズ』でも有名なスペインを代表するトップスター、エドゥアルド・ノリエガを記憶を失った主演男優として起用。その相手役の女優には 今年、シャネルの広告ヴィジュアル戦略の”ミューズ”でもあるフランス映画界期待の新進アナ・ムグラリスを起用した。

キャスティングについては「主役を一人選ぶとあとが自然と決まってきます。今回は男優から決めました。自分のイメージしていた女性らしくダンサーのような しなやかさを備えつつ筋骨隆々とした感じの男性俳優はフランス人では見つからず、地球上のフランス人男性を全て考慮に入れても見つからなかったほどです! 映画の製作を中断しようとすら思ったほどで(笑)。エドゥアルド・ノリエガという外国人を起用したことは、彼が母国語以外の言葉で取り組むもどかしさ、自 由がないところが重なり、記憶障害という病気の役に信憑性が高まり、良い結果を生むことができました」

監督がアナ・ムグラリスと出会ったときは、彼女はパリ国立アート学院の3年生で学費のためにモデルをしていたそう。「シャルドドの映画でアナの声が耳に飛 び込んできたのです。彼女はスタイルもよく造形的な美しさを持っていますが、少ししわがれたざらっとした感じの声に興味を持ちました」と、監督の音に対す る敏感さが伺える。

記憶をテーマに扱う映画が増えてきている中、本作もキーワードは「記憶喪失」。これについて監督は「記憶喪失はテーマとしてではなく、欲望と恋愛、愛情を 分けて表現したかったのです。主人公は男らしさに傷を負い、弱く欲望を抑えた状態です。常に欲望が更新される必要があるのですが、そのために記憶喪失が有 効だと考えたのです。昔知ったケースで記憶を失った映画ファンの男性が治療施設で毎朝映画を観るのですが、覚えていられないために2~3分経つとまた巻き 戻して観るのです。それを毎朝繰り返し2,3ヶ月やっていたそうです。その事実にまず私は驚きました。それはブラッセルにある治療センターでした。患者は 身近な人とゲーム形式で治療を行っていたのですが、今回そのゲーム形式を取り入れました。こうして少しずつアイデアを蓄積していましたが、資金の問題もあ りしばらく温めていたのです」

フランス人監督の持つ素朴な温かい雰囲気にはいつも心和まされてしまうのだが、リモザン監督も誠実な姿勢に好感度大。一つ一つの質問に対しての丁寧さには脱帽させられた。監督の表現したかったことをふまえて映画を観て、味わい深く楽しみたい作品だ。

Patrice Leconte 歓楽通り

水曜日, 8 1月, 2003

歓楽通り
東京ウエスティンホテル
2003年1月8日
パトリス・ルコント監督

PatriceLeconte
1947年パリ生まれ。婦人科医師の父の映画好きに影響され、13歳の頃から映画館に通う。67年にIDHECで監督科を選考し、自主製作の短編映画を数 多く監督。卒業後は漫画雑誌のアシスタントを経て漫画家として活動する。72年に映画界に復帰。その後数々の作品を監督し、『仕立屋の恋』、『髪結いの亭 主』でルコント人気を不動のものにした。

ルコント作品と言えば、美しいヒロイン達が際立つが、本作のファム・ファタルにはイヴサン・ローランのミューズでもあるレティシア・カスタが抜擢された。 「随分前にフランスのテレビ番組のゲストとして彼女が出演していたのを見ました。とても自然でとても素晴らしい女性だと思いました。以来、彼女のことが頭 の中の引き出しにあって、今回の『歓楽通り』の企画が持ち上がったときに直感的に彼女を起用しようと思いました」と、監督。

レティシア・カスタの劇中での歌唱シーンについては、「別の人が歌ってもいいし、彼女自身が歌っても良いと伝えてあったのですが、彼女が歌いたいと希望し たので一度歌ってもらいました。しかし、初めはひどいものでした(笑)。それでも彼女が歌いたいと望んだので2ヶ月のレッスンを経て歌ってもらいました。 ただ、マリオンはこれから舞台で歌うようになる駆け出しの新人ですから、歌が特別上手い必要もないので、これで良かったのです」

また、レティシア・カスタは撮影中に妊娠し一児の母となったのだが、それについては面白い事実が発覚した。「彼女は撮影中は母親ではありませんでした。撮 影中に妊娠したのです。面白い話なのですが、私の撮る作品の撮影中に多くの女性が妊娠しています。『橋の上の娘』のヴァネッサ・パラディや『サン・ピエー ルの命』のジュリエット・ビノシュが撮影中に妊娠しました。ちなみに父親は私ではありません!!(笑)」

監督の作品傾向としては、破滅の愛や叶わぬ恋がテーマになっていることが多い。本作でも実らぬ恋を追い続ける男の姿が描かれている。そのためマスコミ陣の 質問も監督の恋愛観に集中した。「私自身見返りも求めず、一方方向に想う恋愛の形に感動します。とはいえ、実体験で成就しない恋愛は耐えられないもので す。しかし、これは映画です。様々な感情を強調して描くことができるのが映画なのです」 と、実生活と映画の間に明確な境界線を持っていることが読みとれる。

映画に夢と非日常を求める監督。だからこそ、私たちがあっと驚くような甘く切ない映画を撮り続けることができるのにちがいない。恋の刺激をもらうなら、やっぱりルコント作品!なのである。